小屋のキッチン


キッチンを設計に落とし込むとき、紆余曲折しながら悩みました。
それはキッチンを、ダイニングと空間を分けて独立したクローズキッチンにするか、あるいはダイニングと空間がつながったオープンキッチンにするかについてです。
以前の記事「居心地のいい住まい(記事11/01/14)」で書いたように、くつろぐための「コンフォート空間」と、作業をする「タスク空間」はしっかり分離したほうが居心地のいい住まいになるのでは、という持論がありました。洗面室と納戸(洗濯室)は、持論に従いしっかり分離してうまくいったと思います(記事11/01/31) (記事11/02/02)
キッチンとダイニングも分離することで、キッチンでは料理に集中でき、リビングダイニングは落ち着ける部屋になるはずだと考えました。

わたしが住まいづくりをしている頃は、シンクがダイニング側を向いたセミオープンタイプの「対面型キッチン」というものが主流となりつつありました。独立したキッチンでは料理が孤独だし、配膳に手間がかかるという訳で、キッチンとダイニングを近づけたいという希望が多かったのです。それはそれで良い点もあるのですが・・・。
わたしはその対面型キッチンが嫌でした。キッチンは、家の中で一番モノが多く集まるところです(ストレージ)。そしてそこでは、当たり前のことですが毎日三度、料理という作業をします(タスク)。
ガチャガチャしたキッチンと同じ空間にダイニングとリビングがある、そんな場所で落ち着いたコンフォートな時間を過ごせるのだろうか、わたしには疑問です。
普段使いのリビングダイニングの他に、パーティールームやリスニングルームがあるというなら話は別ですが、そんな豪奢な住まいはもとより望んでいません。
家事が苦手と豪語(?)するわたしが、いつだれに見られてもいいくらいキッチンをキレイにしているのは、もう考えただけで疲れます。モノが出しっぱなしでもいい、気楽なクローズキッチンにしたいと思いました。

設計の方に希望を伝え、何枚もスケッチをしていただいたのですが、これというものが出てきません。希望通りのはずなのに、どこかちぐはぐな印象があります。
キッチンを独立させるためには、できるだけなくそうとしているはずの間仕切りが必要となり(記事11/02/14)、そうするとやはりそこに面積配分の無理が生じてきたのだと思います。床面積を最小限に絞り、その中にクローズキッチンを作るとは、矛盾する要求だったのだと今にして思います。
行き詰った時は立ち止まり、道を外れていないか少し後戻りしてみる。
自分の希望をいったん白紙に戻し、絶対やりたくなかった対面型キッチンでスケッチしてもらいました。するとなにかすべてが納まるべきところにストンと無理なく納まる感じがし、それが設計のベースとなりました。
穿った見方をすればそれは、わたしではなくMapleHutが望んだことか。

何事も無理がないということは、そこに自然な流れがあるということです。
それまで滞りがちだった設計は、勢いをつけて自然に流れ出したのでした。

さてしかし、なにを諦めてもこだわりたかったキッチンだったのに、それが自分の希望しない「対面型」で作ることになってしまいました。
今までは使いにくいアパートのキッチンを工夫して使い倒してきましたが(記事10/12/08)、今度はまだリアルな形になっていない、いわば図面という空想上のキッチンと格闘することになりました。
大好きなキッチンのためなら労を厭わないわたし、がんばるぞー、やぁー!

「わたしにとっての『対面型キッチン』づくり」の、めざすべき方針を決めました。
 キッチンの存在が目立たない工夫を施すこと (リビングダイニングのコンフォートを最優先するため)
 モノが出しっぱなしでも気にならない仕組みをつくること (自分の性格改善はアテにならないし)
 キッチンに立つことそのものが楽しくなる仕掛けをつくること (料理コンプレックス克服のため)

living kitchen
   キッチンの天井高は梁下で2m10㎝、ダイニング側の傾斜天井の一番低いところは3m80㎝、ピークは5m85㎝
   写真は2004年撮影、2001年(記事11/02/14)の写真と比べると、だんだん暮らしが馴染んできている感じがする
   photo:Tsutomu Uno
   date:2004/09/15

建築基準法では、「居室の天井の高さは、2.1m以上でなければいけない」となってます。キッチンの天井高2m10㎝は、法的にはぎりぎりの高さとなります。(天井高は、2m40㎝以上で設計するのが一般的)
できるだけ2階に空間を配分する意図でキッチンの天井高を最小に抑えたのですが、結果的にキッチン部分と開放感のある吹き抜け部分(リビングダイニング)との対比が強調され、キッチンの存在が目立たなく見える視覚効果も生じました。

※ローコストを目論み、通し柱は4mものを使っており、それがMapleHutの矩計設計を決定付けています。それは設計上の大きな制限ではありましたが、結果的に多くの魅力も生むことになりました。このキッチンの見え方の他にリビングダイニングの程よい吹き抜け感と2階の巣篭り感、そして一番は、外観に見られる無駄のない引き締まった「小屋」のプロポーションにあると思います(記事11/02/11)
       

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