• 2011/02/11/Fri 08:00:00
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小屋の佇まい


玄関ホールから居室空間に入ると、リビング脇の階段を上って2階まで、いっさい仕切りというものがありません。すべてが一つの空間の中にあります。

あるときyooが、マンションの新聞広告を見ながらわたしに訊ねました。
「ねえ、3LDKってナニ?」
「リビング(L)とダイニング(D)とキッチン(K)が一つながりの部屋で、他に3つの独立した個室がある家のことだよ」
「へぇ~、じゃあうちは個室がないから『ゼロエルディーケーの家』だね、なんかカッコいいなぁ、ははは」

カッコがいいかどうかはともかく、そこがMapleHutのHut(小屋)たる所以です。
床面積は100.26㎡(およそ30坪)で、一軒家としては特別広くはありませんが、夫婦2人が暮らすには充分でしょう。
わたしたち夫婦は二人とも富山県の出身で、富山県といえば持ち家率の高さと、またその家が大きいことで知られています。
わたしたちが家を建てたと聞いて、親戚の大工さんがわざわざ長野まで見に来てくれました。
MapleHutをひと目見るなりひと言、「母屋はどこだぁ~?」。
富山の常識では、納屋にしか見えなかったようですね(笑)。

maple hut 1
   納屋、ではなく小屋の佇まい(竣工から1年経った2001年10月)
   玄関前に突き出た袖壁を、「ようこそウォール」と呼んでいます(いざなわれるのは家の中か、森の異界か)
   photo:Hiroshi Arai(HAL)
   date:2001/10/1-

MapleHutが建つ飯綱高原は、上信越高原国立公園に指定されたエリア内にあります。そのためここでの土地の売買や建築は、「建築基準法」の他に「飯綱西区地区整備計画」という都市計画と「自然公園法」、「長野市自然環境保全条例」によって制限され、環境が保たれるよう配慮されています。
例えば、土地を1,000㎡(およそ300坪)以下で売買してはいけない、建物は道路境界線から10m、隣地境界線から5mセットバックさせなければいけない(屋根の庇やデッキなど、全ての構造物)、屋根の形状は切妻のみ、水源地のため井戸掘削及び排水放流の制限、他に建物の外観に使用する色の制限や、樹木を伐採するときは届け出る義務など(以上設計当時)。確か、木造を主としコンクリート100%造はダメ、という規制もあったような・・・。
設計の方は、これらの条件をクリアするためとても苦労されました。

※上記の法や条例の内容を記述通り正確に記したかったのですが、設計当時の資料が見つかりません。
敷地の状況と法の規制について詳細に調べていただいた、HAL設計室の荒井洋さんから届いたファックスを以下に転記します。


「折谷さんの敷地は、上信越高原国立公園に入っておりますので、長野市の飯綱高原の自然保護の要綱ではなく、ワンランク上の自然公園法に基づく規制が適用されます。
よって道路から10m、隣地から5m後退しなければなりません。
建ぺい率は20%以下、容積率は40%以下と、市の要綱の、道路から5m、隣地から2m、建ぺい率40%、容積率80%と比べ倍以上もきびしい規制となっています。
下記(敷地図)の斜線内のみ建築可となりますので、建物を建てるという意味での不動産的価値は低いと思います。
ただし、これからずっと住まっていくための環境としてはすばらしく高い価値があると思います。
どのように価値を判断するかは、人それぞれではないでしょうか。
  1999年2月18日 HAL設計室 荒井洋 」

添付されていた敷地図の斜線で示した位置には、1,000㎡の敷地に対し「建築可能部分(庇の先)は約195㎡」、と書きこまれてありました。
庭が800㎡もあるなんてステキ!
価値観を共有できる建築家と出会えて、なんとラッキー!

厳しい規制はあるものの、建築可能部分約195㎡を最大限に使えばもう少しゆったりと、少なくとも一つぐらい個室がある家を建てることもできたのですが、できるだけコンパクトな設計としました。
その理由は建築条件のセットバックと建ぺい率をクリアするためだけではなく、敷地の中央近くにあったイタヤカエデ(Maple)を残したかったからです(記事10/10/02)。また小さい家のほうが、ある程度建築費用も抑えられます。
そしてなにより、建築の初めにあったコンセプトの一つ(記事10/10/10)「土地をねじ伏せるような建て方をしない(まるでここに家が芽をだし、森と一緒に育ったかのような佇まいに)」を具現化するとなれば、大きい家というのはありません。

100㎡という床面積を限りなく有効に使うため、設計の方が知恵を絞ってくれました。
棲み人のわたしたちも余計な欲を削り取り、暮らすために本当に必要なことはなにか考えました。
いえ、わたしたちというか、欲を捨てなければならなかったのはわたしです。家づくりには、たくさんたくさん夢がありましたから。もう一人の棲み人yooの考えは、いつもどんなことにも単純明快です。
   

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