• 2010/12/20/Mon 18:00:00
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おかえりなさい!のドアハンドル


社会人としての自分と、まったき個であるわたしに結界があるとしたら、それは玄関ドアのレバーハンドル。
家に帰り、ガッチャッ、という少しどっしりとした音とともにドアのハンドルを押し下げるとき、手のひらに感じる金属の温もりと重み、それはわたしへの「おかえりなさい!」の合図です。
合図を受けて社会人という上着を脱ぎ、ただの棲人となりましょう。

hm-556
   photo:Tsutomu Uno
   date:2004/09/15

気持ちと時間の切り替えに一役買ってくれるこのドアハンドルは、「錠」の老舗メーカー「堀商店」の製品で、「フェロネリシリーズ/HM-556」といいます。
新橋にある堀商店のショウルームへわたしが二度、yooが一度見に行って決めました。
HM-556は、発売されて30~40年にもなるロングセラーです。
計画的陳腐化に乗っかってどんどんデザインが変わっていく昨今、珍しい長寿デザインで貴重な存在だと思います。
正しい年齢を知りたくて堀商店さんに問い合わせたら、「HM-556は今のデザインになってから30~40年です。HM-556の前身となるデザインがあり、それはもっとだいぶ前からあった。」との大雑把なご回答でした。
堀さんの製品は、HM-556に限らず長寿が多いです。時代が変化しても生き残り支持される、それだけ完成されたデザインである証拠なのですが、堀さんにとってそれは「声高に誇ることでもない、当たり前のこと」なのだと、先の回答でわかります。
大切なものをしっかりつかんで放さない、物づくりびとの揺るぎない姿勢を感じます。

さて「手のひらに感じる金属の温もりと重み」、金属に温もりがあるか?
金属は他の素材、たとえば木材や布に比べれば当然冷たいのですが、金属もその種類によって熱伝導率はさまざまですから、触った時の感じに違いがあります。
熱伝導率が良い(高い)とされるアルミニウムは約200W/mK、真鍮は約100W/mK、鉄は約50W/mKです。
住まいの中で熱伝導率の違いを体感するのは、その素材に触れた時に感じる冷たさや暖かさです。
同じ条件の気温下にあるとき、どの素材もだいたい同じ温度になっているはずなのに、触って比較的冷たく感じるのは熱伝導率の高いもので、暖かく感じるのは熱伝導率の低いものです。熱伝導率が高いと周囲の熱を奪いやすいので、触ると手の熱が奪われて冷たく感じるのです。
ドアハンドルHM-556は真鍮製で、表面に艶消黒の塗装が施してあります。
アルミ製の玄関ドアやドアハンドルが、数の上では主流になっています。アルミ製はその加工性の良さから様々なデザインの製品が生み出され、また防犯性能や断熱性能など確かに優れた面も多々あります。
ではこの素朴なデザインのHM-556の、その性能も素朴かというと違うんですね。
記事の初めに堀商店さんを「錠」の老舗メーカーとカッコ付で書いたのは、ドアハンドルもさることながら「錠」が秀でているからです。鍵穴の形状を見てください。ハイテクっぽいでしょ?

建築家の中村好文さんは、建築の中で人が手で握る部分を「人が建築と握手する場所」と表現されました。
人と人は握手して親密になります。人と建築も、握手して信頼関係が生まれるのでしょう。
「おかえりなさい!」のドアハンドルがアルミ製だと、握手したとき冷たいんじゃないかと心配です。
    

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