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散らかっているのも暮らしの風景


○ MapleHutのキッチンづくり その2
モノが出しっぱなしでも気にならない仕組みをつくる(自分の性格改善はアテにならないし)

料理しながらてきぱき片付けもして、食事が出来上がる時には何事もなかったかのようにキッチンがすっかり片付いている、そんなかたもいらっしゃいます。わたしは何年主婦しててもそれができません。というか、やる気がないのかな。
そんなに上手じゃないわたしの料理は、せめて出来たてのあつあつを食べたほうが少しでもおいしいのではと思うので、箸とビールを持っててもらって盛り付けたらすぐやぁー!と食べるのが我が家スタイルです。なので片付けは全部食後にする習慣にしています。

新しく作るキッチンはオープンキッチンです。片付けを後回しにして、見苦しく散らかったキッチンを横目に食事するのは、さすがに味気ないように思いました。
苦手なシーツ交換が大好きになったように(記事10/11/02)、片付けながら料理するよう習慣を変える工夫も大事だとは思うのですが、性格改善をアテにして失敗するのは嫌です(だいたいアテになりません)。
ぐうたら主婦は性格改善より先に、〝モノが出しっぱなしでだらしなく見苦しい〟状態が、〝日々を生き生きと暮らすおいしい風景〟に見えてしまう、そんな都合のいい魔法はないものかと考えるのでした。

kitchen 4
   少しキッチンに近づいてみると、奥に並んでいる家電品が見える
   雑多な印象にならないよう、正面に吊戸棚などの収納は設けていない(壁の広さが大事)
   黒電話は少し前まで現役でした 今は使っていないけどここが指定席です
   date:2011/02/01

ここでも目の習性を利用しています。人の目は、小さいものよりまず大きいものに注目します。
目につく正面の壁を広く見せるために吊り棚などを付けず、、またカップボードを壁面と同じ仕上げで製作することで、より広い垂直面(壁面)をつくりました。その壁面が、キッチンのこまごましたモノや並べた家電品を目立ち過ぎないようにしてくれています。
吊戸棚を付けなくて収納が足りるか、多少の不安はありました。吊戸棚を後付けできるよう、念のため壁に下地を入れましたが、今のところ収納が足りなくて困ったことはありません。

kitchen 5
   さらにキッチンに近づいてみる
   シンク側のワークトップと、IHヒーター側のワークトップに段差があるのがわかりますか?
   高さはシンク側90㎝、ヒーター側84㎝と、6㎝の段差がある

ワークトップは作業台ですから、その高さが使う人に合っていないととても疲れます。低過ぎれば腰に負担がかかるし、高過ぎれば力のいる作業はやりづらくなります。
わたしの身長は160㎝で、ワークトップの高さは85㎝が適当といわれます。夫yooは身長180㎝なので、85㎝では低過ぎます。主にはわたしが使うのでわたしに合わせればいいのですが、たまにしか料理しないyooだって苦痛なくキッチンに立てるに越したことはありません。二人の住まいなのですから。
身長160㎝に対しワークトップは85㎝、とは言われますが、もっと厳密に言えば行う作業によって適切な高さは異なります。シンクでの洗い物は高めのほうが楽ですし、パン生地を捏ねたり、カボチャなど硬いものを切る時は低いほうが力が入ります。コンロ(ヒーター)も、低いほうが腕を高く上げなくて済むので楽です。
かといって、それぞれ高さの違う作業台を用意しようとすれば、各々の作業台が狭くなり実用的な調理スペースが確保できなくなるか、プロの厨房ぐらいの広さが必要になってしまいます。家庭用のキッチンは、限られたキッチン空間にできるだけ広い調理スペースを確保するため、それぞれ必要な高さの平均をとった高さで設計されています。

身長180㎝のyooにも使えるように、シンク側ワークトップをわたしにはやや高めの90㎝にし、ヒーター側は6㎝の段差を付けて84㎝としました。
シンクでの洗い物はわたしでも問題なくできました。材料を切る時は、普段はシンク側ワークトップにまな板を置き、硬いものを切る時は高さの低いヒーター側に置いて使っています。
ヒーターでの調理作業は低くてもだいじょうぶなので、yooも充分使えます。
ワークトップの高さに6㎝の段差をつけたのは、二人の20㎝の身長差を解決するためだけではありません。もうひとつ大切だったのは、やはりここでもダイニングからの「見え方」です。
立ってキッチンに近づけば、ヒーター側に置いた鍋などは丸見えです。しかしダイニングチェアに座ると人の目の高さは105㎝ぐらいに低くなるので、ヒーターの上に置きっぱなしの鍋はシンク側ワークトップとの6㎝の段差の向こうに沈んで見え、丸見えにはなりません。
テーブルに付いた人の目線には正面の広い壁が見えるので、そこに張り紙などしないようにしていれば、ダイニング空間の落ち着きは損なわれません。

kitchen 6.2
   ヒーター前の壁は、外装用のごつごつした割肌タイル
   とことん使いこんで、おいしいイタリアンレストランの風情になったらいいなと思って
   さすがにヒーターに近いところは油が付いてテカっている
   10年目でこの状態ならいいんじゃないのぉ~?合格!

キッチンの前壁に、「キッチンパネル」というものが貼られることが多いです。お手入れが面倒な目地はなく、表面はつるつるしていて汚れをさっと拭き取ることができる、メンテナンスフリーなため人気があるのだと思います。
テクスチャーがつるつるだということはぴかぴかです。「キッチンを目立たせたくない」わたしとしては絶対ありえない、でも「家事の手抜きをしたい」わたしにはうってつけ。
しかしキッチンパネルというつるつるぴかぴかの壁の前では、出しっぱなしのモノは見事にくっきりと浮き上がって見えるでしょう。それは絵にならないな。

ぐうたら主婦が選んだキッチンの壁仕上げは、メンテナンスフリーのキッチンパネルではなく、ごつごつの割肌タイルにしました。
雑巾で割肌タイルの壁を拭くと、雑巾が破けます。雑巾で拭くことすらできないそれはメンテナンス拒否で、究極のぐうたらともいえます。なんと、10年間全くお手入れしていません(できないから)。マジックですよね、これ。
ごちゃごちゃと壁の前に出しっぱなしにしたモノの存在が薄れてしまう、つまり気にならなくするほど強い表情の素材として割肌タイルを選びました。
その意図は成功したかな。これだけ調理道具や調味料を並べていても、それが「絵」になっていると思うのですが。
ヒーター前壁の汚れ方がこの程度で済んでいるのは、ガスコンロではなくIHヒーターを使っているからです。
ガスコンロでは飛び散った油が、炎が起こす上昇気流に乗って広い範囲に拡散しますが、IHヒーターは炎がないため、油はほんの鍋の周りに落ちるだけです。そのかわり鍋の周りはすごく汚れますが、フラットのガラストップをひと拭きしてお手入れはお終いです。

心配だったのは、タイルにこびりついた油が酸化して悪臭になったらどうしようと・・・その時はせめて拭けるぐらいの、もう少し平滑なタイルに張り替えるつもりでいました。
でももしかしてうまくいって、「古いイタリアンレストランのよく使いこまれた厨房」のような風情になったらしめしめ(^-^)v
      


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褐色


【 褐 (カツ、わたいれ) 】 褐はあらい麻の織物で、その色は褐色(こげちゃいろ)であった。その織物で作ったどてらのような衣服を褐博という。(白川静『常用字解』より)

kassyoku
   下に敷いている鍋つかみは、麻の綿入れ
   date:2011/02/02

ある特別な日、コーヒーを淹れようとやかんからお湯を注ぐ。
そのお湯が落ちる先をじっと見つめ、豊かな色彩に驚き、胸がいっぱいになった。
豆、あわ、フィルターの滲み、コーヒーと、揺れ動く光と色のグラデーション。
なんども見たはずの光景なのに、それは今まで経験したことのない色彩。
わたしの中で眠っていた、感じる細胞が目覚めたのだ。
   

キッチンは忍忍


めざした通りにキッチンは作れたでしょうか?
MapleHutの育ての親としては、キッチンがカワイクてカワイクて、それってただの親バカ?

kitchen 3
   現在のキッチンと、リビングダイニング
   date:2011/02/01

○ MapleHutのキッチンづくり その1
キッチンの存在が目立たない工夫を施すこと (リビングダイニングのコンフォートを最優先するため)

キッチンの天井高が2m10㎝(建築基準法適合の最小寸法)なのに対し、リビングダイニングは吹き抜けとなっていて天井の一番低いところでも3m80㎝あります。
開放的な吹き抜けのリビングダイニングと、天井高を最小に抑えたキッチンとの対比から生まれる視覚効果で、キッチンが小さく見えています。実際の広さは約4畳あり、4人ぐらいで楽々立てます。
またキッチンの壁の仕上げ材を暗く渋い色にすることで、リビングダイニングの白壁に対比させ、キッチンが遠くに、そして小さく見える視覚効果も起こっています。(白い車が大きく近くに見え、黒い車が小さく遠くに見える実験をテレビなどで見たことありませんか?)

わたしが対面型オープンキッチンで一番嫌いなところは、味気ない冷蔵庫が主役のようにでん!と構えて、それが肝心のダイニングから丸見えになっている風景です。だからといって冷蔵庫を控えめな場所に置くと、作業性に重大な欠陥が生じてしまいます。「キッチンは料理をする場所」という当たり前の基本がある限り、冷蔵庫はそこにいなくてはいけません。(冷蔵庫は必要という前提です。冷蔵庫は必要ないという価値観もあります。)
この冷蔵庫というもの、カッコよくデザインされればされるほど自己主張してくる厄介なやつです。「えっ、こんなところに冷蔵庫が!」、と驚くほど忍者な冷蔵庫をデザインしていただけないものだろうか。せめて表面材を艶消しのマット仕上げにするくらい、訳ないことだと思うのですが。ピカピカ光っていないと冷えた感じがしないのですか?
わたしの気に入る冷蔵庫がないからといって、それを持たないと決めるほどの潔さはありません。そこで、可能な限り目立たせないような、配置の工夫をしました。
キッチン空間に設計上わざと深い入隅をつくってもらい、そこに冷蔵庫を置きました。少しは控えめに見えるのではと思います。

※冷蔵庫を置くために深い入隅を作ったせいで、食器棚の奥行が27.5cm(内法23.5㎝)と極端な薄型になってしまいました。しかしこれがまた、使ってみたらとても使いやすかったのです。詳しくはまたの記事で紹介します。
※以上のような配置の工夫は、基本設計と同時でなければできません。実施設計が出来上がり、ハイ、ここにキッチンをなんなりと落とし込んでくださいといわれても、できることは限られています。


リビングダイニングから見たキッチンは暗く狭く、閉鎖的な印象を受けられると思います。それはキッチンを目立たなくさせるという意図から、計画的にそのように設計しています。
しかしキッチンに立つと印象は逆転し、とても開放的です。「居心地のいい住まい(記事11/01/14)」に掲載した、キッチン側から見た写真と比較してご覧ください。

気持ちの良い開放的なキッチンにすることと、開放的に「見える」キッチンを作ることは意味が少し違うのです。
なにがどう見えるか、またはどのように見せるかという意図的な操作は、キッチンに限らずとても重要です。

worktop
   LDK入り口からキッチンを見る
   木のワークトップは、キッチン〝らしく〟なくていい
   台になる壁は大工さんが作り、その上に家具屋さんに作ってもらった無垢板のワークトップを乗せた
   ハイスツールに腰を下ろしてギョーザをつくる、をイメージして膝が入る程度持ち出している

シンク側のワークトップは、タモの無垢板で、厚みが38㎜あります。
実用性という観点から、ワークトップにはステンレスや人造大理石を使うことが一般的です。しかし、それら素材が持っている自己主張の強い個性は魅力的ではあるのですが、ここでは悪目立ちしそうな感じがします。のんびりした雰囲気のリビングダイニングが、ステンレスや人造大理石の力強さに負けてしまいそうな気がしました。
キッチンは大好きですけど(記事10/12/08)、ここでの主役はキッチンではなく、リビングダイニングでのコンフォートです。
だからといって、自己主張するワークトップを隠そうとダイニング側にカウンター付の腰壁を立ち上げると、それも「ここにキッチンが隠れてますよ~!」という感じに見えはしないだろうか?
考えた末、圧迫感のあるワークトップ前の腰壁とカウンターも無くして、ペニンシュラ(半島)型のキッチンにし、丸見えになるワークトップは、それが見えてもリビングダイニングの雰囲気を壊さない、木の無垢板で作ることにしました。
シンク側ワークトップの下は、扉などない完全なオープンにしたかったので、38㎜という厚み(強度)が必要になりました。
一般的なキッチンの作り方をすれば、収納キャビネット(引出しのものと扉のものがある)を並べた上にワークトップを乗せるので、それほどの厚みは必要ありません。

よく考えて決めたのですが、本当は完成を見るまでとても不安がありました。
木という素材、特に無垢で、しかも厚さが38㎜もある。心配はワークトップとして実用性があるかどうかということではなく、存在感がありすぎないか、ということです。
ナチュラルな雰囲気のこの家には、ステンレスや人造大理石のような人工的なものより木はずっと馴染みがいいはず、とは思います。(でもなぁ~・・・後から買う予定のダイニングテーブルよりワークトップの方が立派だったら、かえって貧乏くさくてヤだな・・・そもそもキッチンを目立たせたくないから木にするのに・・・ワークトップに負けないようにと、泥臭い民芸調のテーブルにはしたくないしなぁ・・・)不安でした。

不安は、完全な取り越し苦労でした。悩んだことが無駄だったかと思うくらい何ごともなく空間に馴染み、これ以外にはありえないとさえ感じます。
無垢の木という素材はすごいです!とてもえらいです!強い個性を持ちながら自己主張しない、主張せずとも存在感はある。包容力があってたくましい。
木のワークトップは、実用面よりもビングダイニングの雰囲気を壊さないための選択でしたが、実用上もなんの問題もなく使えています。

※木でワークトップを作る場合、いくつか重要な注意点があり、その注意点については別の回で紹介します。
   

小屋のキッチン


キッチンを設計に落とし込むとき、紆余曲折しながら悩みました。
それはキッチンを、ダイニングと空間を分けて独立したクローズキッチンにするか、あるいはダイニングと空間がつながったオープンキッチンにするかについてです。
以前の記事「居心地のいい住まい(記事11/01/14)」で書いたように、くつろぐための「コンフォート空間」と、作業をする「タスク空間」はしっかり分離したほうが居心地のいい住まいになるのでは、という持論がありました。洗面室と納戸(洗濯室)は、持論に従いしっかり分離してうまくいったと思います(記事11/01/31) (記事11/02/02)
キッチンとダイニングも分離することで、キッチンでは料理に集中でき、リビングダイニングは落ち着ける部屋になるはずだと考えました。

わたしが住まいづくりをしている頃は、シンクがダイニング側を向いたセミオープンタイプの「対面型キッチン」というものが主流となりつつありました。独立したキッチンでは料理が孤独だし、配膳に手間がかかるという訳で、キッチンとダイニングを近づけたいという希望が多かったのです。それはそれで良い点もあるのですが・・・。
わたしはその対面型キッチンが嫌でした。キッチンは、家の中で一番モノが多く集まるところです(ストレージ)。そしてそこでは、当たり前のことですが毎日三度、料理という作業をします(タスク)。
ガチャガチャしたキッチンと同じ空間にダイニングとリビングがある、そんな場所で落ち着いたコンフォートな時間を過ごせるのだろうか、わたしには疑問です。
普段使いのリビングダイニングの他に、パーティールームやリスニングルームがあるというなら話は別ですが、そんな豪奢な住まいはもとより望んでいません。
家事が苦手と豪語(?)するわたしが、いつだれに見られてもいいくらいキッチンをキレイにしているのは、もう考えただけで疲れます。モノが出しっぱなしでもいい、気楽なクローズキッチンにしたいと思いました。

設計の方に希望を伝え、何枚もスケッチをしていただいたのですが、これというものが出てきません。希望通りのはずなのに、どこかちぐはぐな印象があります。
キッチンを独立させるためには、できるだけなくそうとしているはずの間仕切りが必要となり(記事11/02/14)、そうするとやはりそこに面積配分の無理が生じてきたのだと思います。床面積を最小限に絞り、その中にクローズキッチンを作るとは、矛盾する要求だったのだと今にして思います。
行き詰った時は立ち止まり、道を外れていないか少し後戻りしてみる。
自分の希望をいったん白紙に戻し、絶対やりたくなかった対面型キッチンでスケッチしてもらいました。するとなにかすべてが納まるべきところにストンと無理なく納まる感じがし、それが設計のベースとなりました。
穿った見方をすればそれは、わたしではなくMapleHutが望んだことか。

何事も無理がないということは、そこに自然な流れがあるということです。
それまで滞りがちだった設計は、勢いをつけて自然に流れ出したのでした。

さてしかし、なにを諦めてもこだわりたかったキッチンだったのに、それが自分の希望しない「対面型」で作ることになってしまいました。
今までは使いにくいアパートのキッチンを工夫して使い倒してきましたが(記事10/12/08)、今度はまだリアルな形になっていない、いわば図面という空想上のキッチンと格闘することになりました。
大好きなキッチンのためなら労を厭わないわたし、がんばるぞー、やぁー!

「わたしにとっての『対面型キッチン』づくり」の、めざすべき方針を決めました。
 キッチンの存在が目立たない工夫を施すこと (リビングダイニングのコンフォートを最優先するため)
 モノが出しっぱなしでも気にならない仕組みをつくること (自分の性格改善はアテにならないし)
 キッチンに立つことそのものが楽しくなる仕掛けをつくること (料理コンプレックス克服のため)

living kitchen
   キッチンの天井高は梁下で2m10㎝、ダイニング側の傾斜天井の一番低いところは3m80㎝、ピークは5m85㎝
   写真は2004年撮影、2001年(記事11/02/14)の写真と比べると、だんだん暮らしが馴染んできている感じがする
   photo:Tsutomu Uno
   date:2004/09/15

建築基準法では、「居室の天井の高さは、2.1m以上でなければいけない」となってます。キッチンの天井高2m10㎝は、法的にはぎりぎりの高さとなります。(天井高は、2m40㎝以上で設計するのが一般的)
できるだけ2階に空間を配分する意図でキッチンの天井高を最小に抑えたのですが、結果的にキッチン部分と開放感のある吹き抜け部分(リビングダイニング)との対比が強調され、キッチンの存在が目立たなく見える視覚効果も生じました。

※ローコストを目論み、通し柱は4mものを使っており、それがMapleHutの矩計設計を決定付けています。それは設計上の大きな制限ではありましたが、結果的に多くの魅力も生むことになりました。このキッチンの見え方の他にリビングダイニングの程よい吹き抜け感と2階の巣篭り感、そして一番は、外観に見られる無駄のない引き締まった「小屋」のプロポーションにあると思います(記事11/02/11)
       
  • 2011/02/16/Wed 08:00:00
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  • CATEGORY:家育て

飯縄山の山懐


飯綱高原は、飯縄山(1,917.4m)の麓に広がる高原地帯です。

2000年春、北海道の有珠山が噴火しました。
当時勤めていた会社でのお昼休み、同僚たちとテレビを見ながらお弁当を食べていました。
テレビは連日、噴火のようすや避難している住民のことを伝えています。そんな中で、日に日に火山灰に埋まっていく、まだ新しそうな1軒の家がありました。
自宅が着工したばかりのわたしは同情して、「かわいそうに、どうしてこんなところに建てちゃったかね~」といいました。
すると、みんないっせいに振り向いて、「えぇ~~もしかして知らないの?飯縄山って休火山だよ!」
「し、しらなかった・・・」

mt.iizuna
   夕日が雪の飯縄山を照らしている
   飯縄山には、キツネの妖怪「飯綱(イズナ)」を操る妖術師イズナ遣いが棲むという
   この先の右カーブを曲がると我が家に到着、頂が見えるとほっとする(路肩に車を停めて撮影)
   date:2010/02/18
   
  • 2011/02/14/Mon 08:00:00
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  • CATEGORY:家づくり

小屋の居心地


部屋を細かく区切ると、間仕切りやその部屋をつなぐ廊下が必要になります。
空間をつなげてしまえばそれらが必要なくなり、その分広がりが生まれます。数字の上で広いだけではなく、目を遮るものが少ないので、床面積という数字でとらえられる以上の開放感があります。
また建築がシンプルであれば、建築費用もシンプルになり、限られた予算を無駄なく使うことができます。
100㎡という床面積を最大に生かすため、設計はできるだけ間仕切りをつくらない方針となりました。
ほんとうにそれでいいのか、なにか困ることは起きないか、図面を見ながら生活のようすをあれこれと想像してみます。

間仕切りのない、つまり個室というものがない設計図面を二人で見ながら、
わたし「だれか遊びに来ても、泊まってもらう部屋がないね」
yoo「2階で一緒に寝ればいいんじゃないの」
わたし「夫婦が寝てる横に泊まるのは、お客さんは気を使わないかな?」
yoo「そんなデリカシーのあるやつはよばなきゃいい、うちに来るのは気の置けない駄客だけじゃないのか?」
わたし「・・・・そだね、そうしよう」

maple hut 2
   MapleHutの居室空間、まだ初々しさが残る(竣工から1年目、2001年秋撮影)
   正面の引き戸の向こうが玄関ホール、洗面室と浴室、納戸、トイレ
   階段を上がって2階にワークスペースと寝室、クローゼットがあり、キッチンの真上が2畳の和室(記事10/10/23)
   2階奥の中央に見えている三角は、妻側上部のハイサイドライト
   以上!
   photo:Hiroshi Arai(HAL)
   date:2001/10/1-

開放感のある空間はとても気持ちよく、この家にしてよかったとつくづく思いました。
しかし何年か暮らすうちに、困ったことが一つ起こったのです。
一人がキッチン、もう一人が寝室にいたとしても普通に会話できるくらい開放的ですから、プライバシーというものがないのです。
夫婦とはいえ、一人になりたいこともあります。ケンカして顔を合わせたくないときは、お風呂かトイレに逃げ込むしかありません。それよりも困るのは、具合が悪い日に静かな部屋で休みたくても、リビングのテレビの音が聞こえてきて神経に触ります。
それでは狭いアパートで暮らしていた時と同じです。寝室だけでも個室にリフォームしようか、何度も悩みました。

考えあぐねましたが、リフォームのいい案は思いつきません。
それよりも考えれば考えるほど、MapleHutの魅力は空間を遮らないこの造りにあるのだということがよくわかりました。
完全に仕切られた部屋がある住まいを想像すると、それは何か全く別物になってしまうような気がします。
余計なものを削り取り、小屋のような住まいだからこそ、MapleHutは魅力的なのだと思いました。
住まいのリフォームはしないことに決めました。
もう一人の棲み人、夫との人間関係のほうをリフォームすることにします。
やはり、わたしのほうがMapleHutに育てられているのだな。

遊びに来た友人が、素敵な感想をくれました。「ここんちって、大きなテントみたいだね」
わたしは、台風が接近する中yooと二人キャンプした夜のことを思い出しました。
強い風にあおられ轟々と森が唸りを上げているのに、シート一枚のテントの中で小さな明かりを灯し、不思議な安らぎを感じたことを。
この家は、おおらかでそしてささやかな小屋だからこそ、魅力的で何にも替えがたい居心地があるのだと思います。
   
  • 2011/02/11/Fri 08:00:00
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  • CATEGORY:家づくり

小屋の佇まい


玄関ホールから居室空間に入ると、リビング脇の階段を上って2階まで、いっさい仕切りというものがありません。すべてが一つの空間の中にあります。

あるときyooが、マンションの新聞広告を見ながらわたしに訊ねました。
「ねえ、3LDKってナニ?」
「リビング(L)とダイニング(D)とキッチン(K)が一つながりの部屋で、他に3つの独立した個室がある家のことだよ」
「へぇ~、じゃあうちは個室がないから『ゼロエルディーケーの家』だね、なんかカッコいいなぁ、ははは」

カッコがいいかどうかはともかく、そこがMapleHutのHut(小屋)たる所以です。
床面積は100.26㎡(およそ30坪)で、一軒家としては特別広くはありませんが、夫婦2人が暮らすには充分でしょう。
わたしたち夫婦は二人とも富山県の出身で、富山県といえば持ち家率の高さと、またその家が大きいことで知られています。
わたしたちが家を建てたと聞いて、親戚の大工さんがわざわざ長野まで見に来てくれました。
MapleHutをひと目見るなりひと言、「母屋はどこだぁ~?」。
富山の常識では、納屋にしか見えなかったようですね(笑)。

maple hut 1
   納屋、ではなく小屋の佇まい(竣工から1年経った2001年10月)
   玄関前に突き出た袖壁を、「ようこそウォール」と呼んでいます(いざなわれるのは家の中か、森の異界か)
   photo:Hiroshi Arai(HAL)
   date:2001/10/1-

MapleHutが建つ飯綱高原は、上信越高原国立公園に指定されたエリア内にあります。そのためここでの土地の売買や建築は、「建築基準法」の他に「飯綱西区地区整備計画」という都市計画と「自然公園法」、「長野市自然環境保全条例」によって制限され、環境が保たれるよう配慮されています。
例えば、土地を1,000㎡(およそ300坪)以下で売買してはいけない、建物は道路境界線から10m、隣地境界線から5mセットバックさせなければいけない(屋根の庇やデッキなど、全ての構造物)、屋根の形状は切妻のみ、水源地のため井戸掘削及び排水放流の制限、他に建物の外観に使用する色の制限や、樹木を伐採するときは届け出る義務など(以上設計当時)。確か、木造を主としコンクリート100%造はダメ、という規制もあったような・・・。
設計の方は、これらの条件をクリアするためとても苦労されました。

※上記の法や条例の内容を記述通り正確に記したかったのですが、設計当時の資料が見つかりません。
敷地の状況と法の規制について詳細に調べていただいた、HAL設計室の荒井洋さんから届いたファックスを以下に転記します。


「折谷さんの敷地は、上信越高原国立公園に入っておりますので、長野市の飯綱高原の自然保護の要綱ではなく、ワンランク上の自然公園法に基づく規制が適用されます。
よって道路から10m、隣地から5m後退しなければなりません。
建ぺい率は20%以下、容積率は40%以下と、市の要綱の、道路から5m、隣地から2m、建ぺい率40%、容積率80%と比べ倍以上もきびしい規制となっています。
下記(敷地図)の斜線内のみ建築可となりますので、建物を建てるという意味での不動産的価値は低いと思います。
ただし、これからずっと住まっていくための環境としてはすばらしく高い価値があると思います。
どのように価値を判断するかは、人それぞれではないでしょうか。
  1999年2月18日 HAL設計室 荒井洋 」

添付されていた敷地図の斜線で示した位置には、1,000㎡の敷地に対し「建築可能部分(庇の先)は約195㎡」、と書きこまれてありました。
庭が800㎡もあるなんてステキ!
価値観を共有できる建築家と出会えて、なんとラッキー!

厳しい規制はあるものの、建築可能部分約195㎡を最大限に使えばもう少しゆったりと、少なくとも一つぐらい個室がある家を建てることもできたのですが、できるだけコンパクトな設計としました。
その理由は建築条件のセットバックと建ぺい率をクリアするためだけではなく、敷地の中央近くにあったイタヤカエデ(Maple)を残したかったからです(記事10/10/02)。また小さい家のほうが、ある程度建築費用も抑えられます。
そしてなにより、建築の初めにあったコンセプトの一つ(記事10/10/10)「土地をねじ伏せるような建て方をしない(まるでここに家が芽をだし、森と一緒に育ったかのような佇まいに)」を具現化するとなれば、大きい家というのはありません。

100㎡という床面積を限りなく有効に使うため、設計の方が知恵を絞ってくれました。
棲み人のわたしたちも余計な欲を削り取り、暮らすために本当に必要なことはなにか考えました。
いえ、わたしたちというか、欲を捨てなければならなかったのはわたしです。家づくりには、たくさんたくさん夢がありましたから。もう一人の棲み人yooの考えは、いつもどんなことにも単純明快です。
   

アトランティス ブルー


カテゴリーテーマの「カラー イズ マジック」は、3年ほど前にSONYブラビアのコマーシャルに使われていたコピーからいただいています。
色彩があふれ出す、あのシリーズがだいすきでした。CMが流れるたびに、釘付けになって見ていました。
コマーシャルのバックに流れていた音楽もだいすき、もう一度聞けたらな。

licc crystal 2
   窓辺に置いた三上リコさん(小布施町在住)のクリスタルガラス
   date:2011/02/03
    
  • 2011/02/07/Mon 08:00:00
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  • CATEGORY:家育て

化粧に関心が薄い、とはいえ


洗面室を片付ける前は、化粧品と化粧道具をまとめてバスケットに入れ、洗面台に出しっぱなしにしていました。
要らないものをすっかり捨てたらキャビネットに余裕が生まれたので、それらを中に収納することにしました。
でもバスケットごとそのまま収納してしまうと、化粧品を使うときにまずそのバスケットを出すという作業が増えてしまいます。かといってただ棚に並べれば、奥のものが取りづらくなります。取り出しやすく、見た目もいい感じに収納できないか考えました。
扉を閉めてしまえば見えないとはいえ、それなりにウツクシクなるための化粧品ですから、見た目は大事です。

antique cabinet 3
ホームセンターを何軒も巡り、このステンレスのワイヤーラックを見つけたの!これはキッチン用のスパイスラックで、メッシュパネルに引っ掛けて使うものです。
扉に引っ掛けるところはないので、材質が同じステンレスの小さいヒートンを一緒に購入し、まず扉に取り付けました。
そのまま掛けるとラックが手前に傾いてしまったので、ニッパーを使ってフックに適度な角度を付けました。

化粧道具を小分けにして入れている乳白色の小さなボトルは、フィルムのケースです。フィルムカメラはほとんど使わなくなったのですが、小さなモノの収納に便利なのでケースだけを捨てずに大事にとってありました。
とっといてよかったコトもありますね。

扉を開いて鏡の前に立ち、上から化粧道具を取り出せます。
化粧というものに関心が薄いわたしでも、ここでのグルーミングは、そんなわたしなりに楽しいです。
   

洗面室に透明感のあるハーモニーが


住まいの中でも一番モノが少ないような洗面室からさえ、結構な量のモノを捨てました。
お片付けプロジェクトの早い段階で、洗面室の片付けを完了しています。
広い場所や問題が多いところから始めると、すぐに挫折してしまいそうだったので、モノが少ない攻略しやすそうなところから着手しました。作戦は成功!完了した気持ちよさを味わって、片付けへのモチベーションはぐっと上がりました。

洗面室の収納はこのアンティークキャビネットだけです。そこに詰まっていた要らないモノを捨て、残したモノをご覧ください。
まずは完成写真からどうぞ。

antique cabinet 1.2
   このキャビネットと鏡は学生時代から使っています
   キャビネットは、当時新品を買うお金がなく、中野坂上の古道具屋で買いました(なつかし~)
   全く合板が使われていないので、昭和初期か大正時代のものだと店主が話していました、御年85歳ぐらい!

antique cabinet 2.2
   ※写真をクリックすると拡大されます
   天板:鏡の右はグラスに入った綿棒、左はメイク用品(わたしの極端なメイクに対する関心の薄さが表れている)
   棚一番上(右から):
   ガラスのキャニスター(中身はコットン、ほとんど使わないので棚の中に収納)、キャニスターの奥にアロマオイル
   ブルーのヘアバンド、かかとスクラブクリームの空容器(色が好きで捨てられない)、その前に保湿クリーム
   キネシオテープ、その前にヘアワックス、奥は(右から)携帯用基礎化粧品、ヘアスプレーとヘアジェル
   バスケットの中は、歯ブラシの買置き、ネイルリムーバー、ヘアピンとヘアゴム(ショートなので使わない)など
   左端は旅行用化粧ポーチ、ポーチの中に舞台用メイク用品(フラメンコのお稽古しているので)
   棚真ん中(右から):
   フェイスタオル(洗面台で使用)、上に重ねてハンドタオル(浴室で使用)
   ハンドタオル(ほとんど使わない)、上に重ねて長タオル(浴室用)と手ぬぐい(トイレで使用)
   厚手のフェイスタオル(ほとんど使わない)
   棚一番下:バスタオル、バスマット
   右引き出し:髭剃り洗浄剤の買置き、化粧スポンジの買置き(こんなに要らない)、ライター(アロマテラピーに)
   左引き出し:石鹸の買置き、旅行用洗面用品

キャビネットの片付けで、一番捨てたものはタオルでした。
片付ける前は台所用のタオルもここに入っていて、棚2段目と下の段にタオルがぎっしりと入っていました。逆に洗面室で使うバスタオルとバスマットは、2階のクローゼットに収納していました。
片付けて棚がスカスカになったので、ここにバスタオルとバスマットを収納し、便利になりました。キッチン用はキッチンにと、タオルは分散収納に変えました。
タオルの過剰ストックの原因は、趣味の変化です。若かったころ(っていつだ)はきれいな柄の厚手のタオルが好きで、よく買っていたのです。それがだんだん趣味や使い方と合わなくなってきたのに「まだ使える」という理由で捨てられず、じわじわたまっていったのだと思います。
それからいただきものの中途半端に立派(?)なタオルで、全く趣味に合わないけど「いいヤツだから捨てにくい」、そんなのがたくさんありました。
結局、気に入らないから使わない、使わないからいつまでもダメにならない、よって捨てられず、なんだか好きなものと嫌いなものがまぜこぜで、そこに楽しい感じは皆無です。
「まだ使える」を、「持っている理由」にしているのが間違いなのではないかと思い、では「今気に入っていないモノ」と「今役に立っていないモノ」が全部ここからなくなったらどうなるのだろう。
むくむく興味が湧いてきて、棚の中から一旦すべてのモノを取り出し、「気に入っている」「役に立っている」モノだけを厳選して分けてみました。
モノが増えたから収納を工夫するという対処療法ではなく、モノがあふれる根本原因である病巣を切り取る外科手術を施したようなものです。すると、大量にモノを捨てただけでまだ収納の整っていない、生々しい手術の傷跡が残る状態なのに、なんだかイイ気配が漂ってきます。気分もとてもいい。
好きじゃないモノがすっかりなくなると、ざわざわした不協和音が消え、空間に透明感が現れてきたのだと感じました。音のない美しいハーモニーが響いてくるようです。
「片付けってこういうことなんだ!」、そのとき身体でわかったような気がします。
全部モノを出してカラになったキャビネットの中と背中、横に倒して底の裏を拭き、モノたちが居心地いいように工夫して収納し直しました。

使えるけど使っていないタオルの他に、実は「傷んでしまって使わないけど、いつか雑巾にするかも」というタオルやTシャツが、段ボールに1箱違う場所から発掘されました。拭き掃除なんかロクにしないくせに(苦笑)。
つつましいというより、やはりどこか変です。
そんなタオルの山にあきれているところに、お付き合いのある自動車修理工場のニュースレターが届きました。そこに「オイルを拭くウエス用のボロ布があったらください」と書いてあったので、段ボール2箱分のタオルを引き取ってもらいました。

そのほか捨てたものは、中身が空のコンパクトが4つぐらい(使い終わっているのにナゼ捨てない!)、使っていない獣毛のヘアブラシ(高かったが使いにくかった)など3本、使い切る前に飽きてしまった化粧品やヘアケア用品がたくさん、やはり飽きてしまった薬用歯磨き粉が2本ぐらい。
全部でバケツに軽く1杯分ぐらい捨てました。
それから、化粧品やシャンプーのサンプル。旅行で使おうかという考えでしたが、旅行にもいつもの使い慣れた化粧品を持っていくし、シャンプーが置いてない宿に泊まることは、今はほとんどありません。
たくさんたまっていた試供品を、しばらく苦労して全部使い切りました。こんなに苦労するくらいなら、もらわなければいいと思いました。気持ちよくなるためのグルーミンググッズのはずが、全然気持ちよくなーい(p_-)

洗面脱衣室でするコトは、グルーミングと着替えのみ。それは、心地よいコンフォートを得るため。
コンフォートでないものは、ここにある必要がない。
雑音に惑わされることなく、どんな状態が心地よいのか、自分が求める声に耳を澄ましてみようと思います。
   


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